皆さん、今回はどうもお疲れさまでした。
新たな企画に参加して、どんなものが書けるかとドキドキものでしたが、他の方の作品を多く読めただけでも幸せです。
>toriさん
綺麗なものも汚いものも隔てなく平等な目で見つめ、感じたままに描写しようとする。「ああ、これが人間の身体なんだよなあ」という、驚きとも諦めとも感動ともつかない奇妙な心地を味わいました。「命」「心」といった何か不思議なものが宿っている存在としての「人間」と、ただの有機物の塊としての「人体」、あるいは生・性と死。その境目を行ったり来たりするような濃厚な描き方が、やはり強く伝わってきました。
ただ、個人的な感覚ですが、「蒼い気泡の見果てぬ夢」というテーマがあるにしては「蒼」のイメージがやや薄かったかな、と。それよりは月光・素肌などの「白」、瞳・肉といった「赤」の印象が強いように感じました。「転調をつけながら刺激していくと」という表現もややわかりにくかったかな、と。いつものtoriさんテイストは味わえたのですが、そこにさらに付加するような要素で楽しめるとよかったかもです。
>李都さん
最初から四つの段落、「~(擬音)と音がする」で統一されている点からしてお上手だなと思いました。いったい「私」とは何者で、どこにいて、何によってこんな状況に置かれているのか。そして、壁が「私」に告げることで一気に新たな世界へと押し出されていく。そして、新たな命の誕生を描いたものであることが明らかになる。面白い構成だったのではないかと思います。
物語世界の仕組みを明らかにするために、いったん視点の移動めいたものが行われているように感じたのですが(分娩室の前の風景部分)、最後でまた「私」からの視点に戻っているように見えてちょっと混乱しました。あと、細かい指摘になりますが「心のグラス」という表現はやや具体的な表し方に踏みこんでいるような気がします。「やけに大人っぽい考え方をするが、やはり赤ちゃん」というイメージを支えるためにも、ここは他の部分と同じく観念的な表現を用いたほうがよいのではないかと思いました。
>脳舞さん
SFに造詣の深い脳舞さんらしい作品だなあ、と思いました。ある人間にそっくりな人物がいるとしたら、その現象は何によるものなのか。五つのパターンがきちんと考えてあって(最後の目隠し青年の考え方と彼らを二人登場させた発想には吹き出しましたw)、読みごたえがありました。
途中で劇中劇だったことが明らかになるのですが、この最後のパートは実感としては難しいところだなと思いました。船上での様子を描いた部分があまりに荒唐無稽なので、それがお芝居であることを強調するために用意された場面ともとれるのですが、仮にそうだとしても最後のパート自体も荒唐無稽なわけで。かたわらにいた老人や経歴の多彩な舞台監督、観客がみんなそっくりさんであったことも含めて、「そうでなければならない理由」が乏しいように感じました。そういう意味で、何か、原作のようなものを翻案した作品なのかもしれないなと邪推してみたり。
>鳥里アオさん
読み始めてすぐに、不思議がいっぱい。「私」がどんな人かもわからない。どうしてこんなことになっているんだろう。でも、読み進めているうちになぜだか納得してしまう。そんな印象を感じる作品でした。童話めいた雰囲気が、自然とそんなものを感じさせてくれたのかもしれません。
個別に書くこととしては、桃の種から浮き上がった「蒼い透明な気泡」、これが水上に飛び出した後、どこへ向かっていったのか。湖の上に出てきてから、「あれはどこへ行ったんだろう、あっちかな、それともこっちかな」みたいに「私」が考えてくれるとさらに楽しく読めたかもです(ただ、種を包んでいた「包」み+「水」=「泡」という一種の言葉遊びめいたものが意図的に隠されたものであるなら、個人的には問題なさげです)。あと、何度か読み返しているうちに「私」が服や靴などいっさい身につけていない全裸状態なのではないかと疑ってしまったこと、お詫びしておきます(この変態め)。
>おさん
一本芯の通った、儚げながらもたくましさを感じる詩だなと思いました。「僕は、ここで、生きている」という最後の一文が特にお気に入りです。設定を見てみると、充分長編にできそうなボリュームのようで。ある種典型的な異種婚姻譚(恋愛譚?)として、悲劇に彩られた物語になりそうな気がします。
途中に出てくる「吸血鬼」「短剣」といった単語からして、西洋の舞台を予感させるものがありますね。おさんの作品は和風な世界で起こるものが多いように感じるので、いつか読んでみたいです。
あと、今回の企画&投稿場所を用意してくださり、本当にありがとうございました。次回企画にも参加する予定でいますので、何とぞよろしくおつき合いくだされば幸いです。
>自作
わかりやすく書くべきものをあいまいな描き方で伝えようとする試みが、昔からどうもうまく行きそうにありません。今回もアダルトな雰囲気を出すだけで精一杯で、相変わらずの台詞進行、もとい信仰。細かいところまできちんと整理しきれていなかったからややこしいお話になってしまったのかもしれないなあ、と。シーンを書きたいのか、ストーリーを書きたいのか、人物を書きたいのか。うまく配分していけるようになりたいものです。
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